古民家再生事例

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古民家再生事例

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優しい家づくり ~安心できる家とは~

太宰邸/宇和島市三間町
築年数:約200年
テレビ愛媛「南予の古民家再生プロジェクト」07年8月4日放送

■歴史とともに暮らす

 米どころとして知られる宇和島市三間町。その田園風景を見渡すように、小高い丘の上に建つ古民家。かつてこの土地を治める庄屋であった太宰家の邸宅である。

 土間に残る凹凸は、江戸時代からの下駄の跡がそのまま残ったもので、梅雨時期になるとその窪みに綺麗に苔がむすという。天井を見上げれば、何重にも組み合わされた太い梁が空間を支えている。

 そんな歴史溢れる古民家に住むのは、東京から移り住んで来た與那原(よなはら)夫妻。そもそも太宰邸は妻の慶子さんのご実家。建築士であるご主人與那原さんの独立を機にこの家に引っ越してきたとのこと。このたびお子さん二人の成長にあわせてリフォームすることになった。

 しかし、この家は県内でも有数の歴史有る古民家。その趣は残しつつ、生活空間をどう確保するかが問題となった。

 考えた末、かつてこの家に暮らした偉人たちを偲んで足を運んでくださる方のためにも、母屋部分は最低限の補修に止め、もともと生活スペースであった北側の下屋部分を大改修することにした。

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■家族が安心して住める家

 今回のリフォームには、自ら設計を手がけた與那原さんの創意工夫が随所に見られる。

 下屋部分は母屋より天井が低いため、勾配をつけて可能な限り高さを稼いだ。また、毎日親子が顔を合わせられるように、子供部屋は居間の奥に配置。

 生活動線を効率よくコンパクトにまとめ、建具を引き戸にすることで段差を少なくし、バリアフリー化を図った。

 さらに、お子さんの喘息アレルギーに配慮し、建材には体に優しい自然素材を使用。木の香り漂う安らぎの空間となった。以前マンションで暮らしていた頃に比べて、症状も良くなったとか。

 こうして、三世代の家族が健康で安心して暮らせる生活空間が誕生したのである。

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    小高い丘の上に建つ太宰邸。
    辺りには三間町の田園風景が広がる。

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    歴史を感じさせる土間。
    梅雨時期になると苔むした様子が美しい。

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    シックハウス対策として、体に優しい自然素材を使用している。

太宰 孫九
太宰 孫九
(1879-1942)

芝 不器男
芝 不器男
(1903-1930)

■太宰邸で暮らした明治の偉人

 この家には、明治初期の愛媛を強く生きた、2人の偉人が住んでいた。

 1人は太宰孫九。伊予鉄道創始者の1人である。土地の実力者の家に生まれた彼は、実業家として活躍。愛媛の近代化に尽力した。生活のベースを松山に移してからもこの家を度々訪れ、離れの和室に、愛媛の財界人、有力者を集め会合を開いていた。

 もう1人は、芝不器男。俳人である。句誌「ホトトギス」に投稿し、高浜虚子に評価され注目を集めるも、病を患い、わずか26歳でこの世を去った。その句風は、古語を使いつつ近代的な叙情味を描いている。亡くなる2年前、孫九の長女と結婚し、1年余りをここ太宰邸で過ごした。庭には句碑が残っている。

 古民家にはこうした歴史の端々が眠っている。歴史を身近に感じられるのも古民家の魅力の一つであろう。