


空間を活かす ~現代の生活にあった空間再構成~
満田邸/宇和島市津島町
築年数:約80年
テレビ愛媛「南予の古民家再生プロジェクト」07年8月18日放送
■目指したのは意外性
母屋と並んで建つ古民家。それは施主の満田さんの祖父が約八〇年前、牛小屋として建てたものだった。やがて、満田さんの親の代になり、かつての牛小屋は幾つかの部屋に仕切られた居住空間へ変わり、満田さんもそこで生まれ育った。旧宇和島市と並び、闘牛が盛んな旧津島町ならではの古民家である。
そんな変遷を経た満田邸。今回のリフォームによって、その細かく区切られた部屋の仕切りは全て外され、四二畳の広大なリビングへと変貌した。
開放感溢れるリビング。その中心にそびえる杉の磨き丸太。対面式キッチン、十二畳あるロフトスペースなど、随所にこだわりが感じられる。そのインテリアは、外観とはうって変わって、お洒落な洋風ダイニングを感じさせるデザイン。ここに招かれた客人は、外観と室内のギャップに驚くという。その意外性こそが、満田さんの狙ったものだった。
ご自身も料理をする満田さんの要望もあって、キッチンは対面式に。
天井の巨大な梁は、この家より古い歴史を持つ。
満田さんの祖父が当時もらってきたもので、近所の橋に使われていた、約150年前の木材。

(有)酒井設計
一級建築士
酒井純孝さん<
■古民家の耐震について
現在の新しい建物も、基本的な考え方は昔と変わらない。
古い建物を調査すると、屋根や壁の重さを支えてきた梁、柱、礎石など丁寧な仕事に会えることが多い。職人の粋な仕事を随所に見ることが出来る。時代の変遷を経た家は、その時代の生活に合わせて表情を変えてゆくが、主要構造材は創建当時の物が残っている場合が多い。
それらは、長年の間に起きた数回の地震にも耐えて現存している。間取りに合わせたバランスの良い壁の配置、梁のかけ方、土壁を支える貫・・・。
長い間残ってきたのは、確かな平面計画と構造計画によるものだろう。
やがて、来ると言われている東南海地震。快適で安心できる建物に改造するには、確かな調査と確実な構造計算を行うことが必要であろう。